対バンとは「バンド同士の対決」が語源と言われており、さまざまなアーティストが入れ替わる形で共演するライブのことです。一般的にタイムテーブルで割り当てられた演奏時間に各アーティストが演奏し、交代しながらイベントが進みます。複数のアーティストが集まるため新しい音楽が楽しめるといった、ワンマンライブとはことのなる楽しさが対バンにはあります。
当記事では対バンの意味やメリット・デメリット、また対バンの流れについて解説します。対バンに初めて参加するという方は、ぜひ対バン参加の事前情報としてお役立てください。
1.対バンとは?
対バンとは、1つのライブに複数のアーティストやバンドが出演する形式のイベントのことです。元々はバンド同士が対決するという意味で「対バン」と呼ばれるようになりました。対バンは実際に対決するわけではなく、ライブ出演者同士はあくまで共演者という関係になります。
対バンライブの中でも、2組のアーティストやバンドが出演する場合は「ツーマンライブ」、3組の場合は「スリーマンライブ」とも呼ばれます。なお、1組のみが出演する場合の呼び方は「ワンマンライブ」です。
2.対バンのメリット・デメリット
対バンライブは、演者によって毎回異なる空気感や特別感を味わえるイベントです。演者は新しいファンに、観客は新しいアーティストやバンドに出会えるかもしれない点が、演者側・観客に共通するメリットとなっています。ワンマンライブとは違った楽しみ方ができるのが対バンです。
以下では、演者側・観客側それぞれの視点で異なるメリットやデメリットを紹介します。
2-1.【演者側】対バンのメリット・デメリット
対バンの開催はアーティストにとってさまざまなメリットがあります。ただ、対バンはメリットだけでなくデメリットもあることを押さえておくことが大切です。
【演者側】対バンのメリット |
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・新規ファンを獲得できる 対バンでは各アーティストのファンが集まることから、集客力が高まります。そのため、ほかのアーティストのファンが自分のファンになる可能性があります。全員をファンにすることは難しくても、認知度のアップは期待できるでしょう。 ・色んな方に演奏や曲を聴いてもらえる 対バンを行うライブハウスでは、まれに音楽関係者がライブを観に来ることがあります。対バンでの演奏を通して多くの方に演奏や曲を聞いてもらえれば、音楽関係者やプロに曲が届き評価される機会につながります。 |
【演者側】対バンのデメリット |
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・披露できる曲数が減る 対バンではほかのアーティストたちとライブの時間を分け合って演奏します。演奏するアーティストが多い分、担当する時間内に披露できる曲数は減ります。 ・気を使う範囲が増える さまざまなアーティストが対バンで参加するため、アーティスト同士のやりとりに気を使わなければいけません。イベント中に限らずリハーサルや待機時間も、お互いが気持ちよくイベント進行・演奏できるように配慮する必要があります。 |
2-2.【観客側】対バンのメリット・デメリット
対バンは、観客側にとってもさまざまなメリットやデメリットがあります。
【観客側】対バンのメリット |
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・さまざまなアーティストやバンドの演奏を聞ける 対バンでは、観客はさまざまなアーティストの演奏や曲を聞けます。ライブ初心者でも飽きずに最後まで楽しめたり、新しいアーティストやバンドに出会えたりする点が対バンの大きなメリットです。 ・その日限りの曲やMCを聞ける場合がある 対バンでは、コラボ曲の披露や対バンライブを開くに至ったエピソードなど、その日限りの曲やトークを聞ける可能性があります。ファンにとっては、アーティストの新たな一面を見られる貴重な機会になる可能性もあるでしょう。 |
【観客側】対バンのデメリット |
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・アーティストごとの曲数が減る さまざまなアーティストが参加するため、目当てのアーティストの演奏時間が単独でのライブに比べて少ないことがデメリットです。 ・興味がないアーティストの曲を聞く可能性がある 対バンの相手が知らないアーティストの場合、新しいアーティストやジャンルの曲に触れられる一方で、アーティストや曲が好みではない場合もあります。対バンでは出演が公表されないケースも多いため、興味のないアーティストの曲を聞かざるを得ないこともあるでしょう。 |
3.対バンの流れ・タイムテーブル
タイムテーブルとは、時間割や時刻表のことです。タイムテーブルと言う言葉は、特に音楽フェスや音楽番組などで、アーティストの出演順や出演時間を表示したものに対して使われます。タイムテーブルは、複数のアーティストがライブ出演する対バンにおいて不可欠なものです。
以下では、対バンライブ本番のタイムテーブルの内容をご紹介します。
入りとリハーサル | 「入り」とは、演者がライブの当日にライブ会場入りする時間のことです。すべてのアーティストがそろって同時刻に行う場合もあれば、アーティストごとに時間をずらしてある場合もあります。いずれのケースでもほかのアーティストに迷惑をかけないように決められた時間を厳守することが大切です。 リハーサルは演奏の練習ではなく、イベントスタッフとコミュニケーションを取りながらライブの流れや音の聞こえ方、照明の明るさなどを確認・調整するための時間です。 |
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開場と開演 | 「開場」は観客が入場し始める時間、「開演」は公演がはじまる時間です。対バンライブでは、開演時間になると1組目のアーティストが登場し、アナウンスなどもなくいきなり演奏に入るケースが多くなっています。 |
演奏 | 演奏は複数のアーティストが同時にステージに上がるのではなく、それぞれのアーティストに割り当てられた出演順番に沿って1組ずつ行われます。ほかのアーティストに影響が出てしまうため、決められた演奏時間をしっかりと守ることが大切です。 |
転換時間 | 対バンライブには、アーティストが入れ替わるための「転換時間」があります。アーティストは転換時間に、機材の運び出しやサウンドの最終チェックなどを行います。転換時間でもたつくと、イベントがスムーズに進まないため注意が必要です。 |
ゲスト | 対バンライブによっては、目玉となるゲストバンドがいることもあります。ゲストバンドは対バンライブの大トリとして、一番最後を務めることが多いです。 |
アンコール | ワンマンライブでは一般的にアンコールがあります。対バンライブでは、最後に演奏したアーティストがアンコール演奏をする場合が多いです。アンコール演奏の終了とともにライブが閉演します。 |
終了 | 観客が帰ったら、アーティストも撤収の時間です。「完パケ」と呼ばれる、会場から撤収する時間が決まっている場合も多いため、後片付けは迅速に行う必要があります。 |
4.対バンにおけるマナー
対バンでは複数のバンドが一緒にイベントを運営するため、演者はもちろん、観客もいくつかのマナーを守ることが大切です。
ここからは、演者側・観客側それぞれの対バンにおけるマナーをご紹介します。
●演者側の対バンにおけるマナー
- リハーサル時間や出演時間などの時間を厳守する
- 楽屋は待機場所ではなく荷物置き場として利用する
- 楽屋はスペースを譲り合って利用する
- 機材をまとめ、出し入れやセッティングがスムーズにできるようにする
- ほかのアーティストや観客と楽しくふれあい、ライブを盛り上げる
●観客側の対バンにおけるマナー
- 可能な限り、応援しているアーティスト以外の演奏も聞く
- 写真や動画撮影についてはガイドラインや会場の規則に従う
- 会場の受付で目的のアーティストを聞かれたら1つだけ答える
- 周りの迷惑にならない服装で行く
- ライブ中は私語をせず音楽を楽しむ
- しっかりと楽しみ、ライブを盛り上げる
対バンでは、1組のアーティストの無責任な行動がイベントに大きな影響を与えます。たとえば、時間や約束を破ったり周りに配慮のない行いをしたりすると、ほかのアーティストはもちろん、観客にも迷惑がかかりかねません。気持ちよくライブを行うためにも、対バンにおけるマナーを守りましょう。
観客側についても、対バンならではのマナーがいくつかあります。大切なのは、アーティストや周りの観客、会場などに迷惑をかける行為をしないことです。参加者全員が心から楽しめるように、一人ひとりがきちんとマナーを守って対バンイベントに参加しましょう!
まとめ
対バンとは1つのライブに複数のアーティストが参加するイベントのことです。さまざまなアーティストが参加するため、演者側では新たなファンが生まれたり、たくさんの方に演奏を聴いてもらえたりします。また観客側では対バンに至ったエピソードなどその日限りの雰囲気が楽しめたり、新たに好みのアーティストをに出会えたりします。
対バンは複数のアーティストが協力してイベントを運営するため、ほかのアーティストの迷惑にならないよう時間を厳守することが大事です。対バンを見に行くときは、他のアーティストとの演奏も聴いて周りの迷惑にならないよう楽しみましょう。