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「生殺与奪の権を他人に握らせるな」とは?鬼滅の刃の名言の意味

「生殺与奪の権を他人に握らせるな」とは?鬼滅の刃の名言の意味

『鬼滅の刃』に登場する名言「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」は、富岡義勇が炭治郎に向けて放ったもので、他人に自分の命運を委ねないという厳しい戒めが込められています。このフレーズの背景には、登場人物それぞれが背負う過去と葛藤があり、ただ生死を左右するだけでなく、自己決定の重要性を強く意識させる教えが詰まっていると言えるでしょう。

当記事では、この名言の意味や由来、また義勇の他の名言を通じて、彼の人物像と信念に迫ります。

1.鬼滅の刃の名言「生殺与奪の権を他人に握らせるな」とは

「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」は、『鬼滅の刃』の登場キャラクター冨岡義勇が、主人公の竈門炭治郎に向けて放った言葉です。これは、他者に自分の命運を委ねることなく、自らの生死を決定する力を他者に奪われるなという強いメッセージを込めています。

以下では、生殺与奪の意味や読み方、由来について詳しく解説します。

1-1.生殺与奪の意味

「生殺与奪」とは、「生かすも殺すも他人が自由に操ること」を指す熟語で、一般的に「生殺与奪の権」とセットで用いられるケースが多いです。「生=生かす」「殺=殺す」「与=与える」「奪=奪う」と各文字が異なる意味を持ち、相反する作用が組み合わされており、他者の生死や運命を一手に握ることを意味します。

この言葉は、『鬼滅の刃』で冨岡義勇が主人公・炭治郎に向け、自分の命運を他人に委ねず、自分の力で立ち上がる重要性を説いたものです。義勇はこのセリフを通して、他人に頼らず自身の信念で生き抜く強さを伝えています。義勇が放つ厳格で現実を突きつける言葉は、彼自身の過去の経験と信念に基づく深い戒めでもあります。

1-2.生殺与奪の読み方と由来

「生殺与奪(せいさつよだつ)」の初出は1868年の『泰西国法論』とされていますが、この言葉が一般に浸透したのは幕末から明治時代です。日本の歴史において、幕末から明治にかけての時期は大きな変革期であり、人々の間でこのような言葉が浸透していった背景には、自己責任や他者に依存しない精神の重要性が求められた時代背景が影響しています。

現代社会でも「生殺与奪の権を握る」は、ビジネスや政治の場で「決定権」や「支配権」の意味として使われています。「生殺与奪権」と言うことも少なくありません。『鬼滅の刃』の劇中でのこの台詞は、単なる生死の支配にとどまらず、自立と自己の強化、他者に委ねず自分で道を切り開く意識の重要性を示していると言えるでしょう。

2.名言を放った富岡義勇はどのような人物?

冨岡義勇(とみおかぎゆう)は、『鬼滅の刃』の中で「水柱」として鬼殺隊を支える冷静沈着な剣士です。炭治郎が初めて出会った鬼殺隊士であり、物語の重要な局面で竈門兄弟(炭治郎・禰豆子)にとっての道を開く役割を果たしました。彼の特徴は、感情を表に出さず、冷静に鬼を断つことで知られる一方、内には深い悲しみと強い意志を秘めている点です。また、炭治郎を鬼殺隊へ導いたことが物語の展開を生む重要なきっかけとなっています。

義勇は、幼少期に両親を失い、さらに姉を鬼に殺された悲しい過去を持っています。彼の静かな振る舞いは、その過去と心の中に秘めた複雑な感情の表れとも言えるでしょう。また、炭治郎と同じ「水の呼吸」を極めたことで、水柱の称号を持つまでに成長していますが、これは彼が長年にわたり積み重ねてきた努力の成果です。

彼の外見は、冷静で美しくもある顔立ちに、青い瞳と黒髪の後ろ髪をまとめた姿が特徴です。その容姿にくわえて、彼が常に着用する片身替わりの羽織は、義勇の過去を象徴するものです。羽織の半分は姉の、もう半分は修行時代の親友・錆兎(さびと)の形見であり、彼にとっての戒めであり続けています。

2-1.名言の後に続く富岡義勇の台詞

名言の後に、義勇が炭治郎に放った厳しい言葉には彼の信念が反映されています。以下は、その台詞の全文です。

生殺与奪の権を他人に握らせるな!

みじめったらしくうずくまるのはやめろ!

そんなことが通用するなら お前の家族は殺されていない!

奪うか奪われるかの時に主導権を握れない弱者が妹を治す?

仇を見つける?笑止千万!

弱者には何の権利も選択肢もない

悉く強者にねじ伏せられるのみ!

妹を治す方法は鬼なら知っているかもしれない

だが鬼共がお前の意思や願いを尊重してくれると思うなよ

当然俺もお前を尊重しない

それが現実だ!


なぜさっきお前は妹に覆い被さった?

あんなことで守ったつもりか?

なぜ斧を振るわなかった?

なぜ俺に背中を見せた?

そのしくじりで妹を取られている

お前ごと妹を串刺しにしても良かったんだぞ!

引用:©吾峠呼世晴/集英社「鬼滅の刃」1巻

2-2.「生殺与奪の権を他人に握らせるな」の裏にある真意とは?

義勇の名言「生殺与奪の権を他人に握らせるな」には、彼が過去に経験した苦しみと、炭治郎への真剣な助言が含まれています。彼は家族を失った苦しみを理解しつつも、炭治郎がその苦しみに飲まれてしまうことをよしとしません。以下の言葉には、炭治郎が苦悩を抱えつつも、それを原動力として前に進むべきだという義勇の厳しくも温かい思いが込められています。

泣くな 絶望するな そんなのは今することじゃない

お前が打ちのめされてるのは分かってる

家族を殺され 妹は鬼になり つらいだろう 叫び出したいだろう

分かるよ 俺があと半日 早く来ていれば お前の家族は死んでなかったかもしれない

しかし 時を巻いて戻す術はない

怒れ 許せないという強く純粋な怒りは 手足を動かすための 揺るぎない原動力になる

脆弱な覚悟では 妹を守ることも 治すことも 家族の仇を討つことも 出来ない!

引用:©吾峠呼世晴/集英社「鬼滅の刃」1巻

義勇は、炭治郎に現実の厳しさと戦う覚悟を持つよう促し、ただ感情に流されるのではなく、その怒りを力に変えていくための覚悟を説いています。この冷徹とも取れる態度の裏には、実は炭治郎を思う深い優しさがあると言えるでしょう。義勇が彼に強く当たるのは、苦境の中で成長し続ける強さが炭治郎には必要だと考えているためであり、彼自身もまた、過去の悲劇と向き合ってきたからこその説得力が感じられます。

3.「生殺与奪の権を他人に握らせるな」以外の富岡義勇の名言集

義勇の名言には、彼の冷静で厳格な表情の裏に隠された深い人間性や思慮が垣間見えます。彼の一言一言が炭治郎たちを奮起させ、時に厳しい教訓として彼らの成長を支えています。以下、代表的な名言を見てみましょう。

3-1.俺が来るまで よく堪えた あとは任せろ

この台詞は、那田蜘蛛山で炭治郎が鬼に追い詰められているとき、義勇が炭治郎を助けに駆けつけて言い放った言葉です。炭治郎の努力と奮闘を認めつつ、自身がいる限りは安心して戦いを任せろという頼もしい一言です。義勇の優しさと、柱としての責任感が表れた瞬間であり、炭治郎への心からの労いと信頼が感じられます。

3-2.俺は嫌われていない

義勇が柱として同僚たちから距離を置かれていることを意識しつつも、「嫌われていない」と主張する場面での一言です。この台詞は、彼の性格が引っ込み思案で口下手なことも影響し、他人とうまくコミュニケーションを取れない彼の一面を感じさせます。普段は冷静で孤独を好むように見えますが、実は他人からの評価を気にしている繊細な一面もあり、義勇の人間らしさや人柄が垣間見える名言です。

3-3.俺は水柱になっていい人間じゃない

義勇が自身の過去や葛藤を抱え、柱としての責任を重く感じていることを示す台詞です。過去の経験や罪悪感が、彼の心に重くのしかかっていることがうかがえ、義勇がその役割にふさわしいかどうか苦悩し続けている心情が表現されています。義勇の謙虚さ、そして彼が水柱としての使命に対して、並々ならぬ覚悟と真摯な姿勢で向き合っていることが、この一言に込められていると言えるでしょう。

まとめ

富岡義勇の名言「生殺与奪の権を他人に握らせるな!」は、単なる自己決定の重要性にとどまらず、自分の意志で人生を切り開くという力強いメッセージが含まれています。過酷な運命に立ち向かう彼の姿勢は、困難に直面した際に誰もが持つべき覚悟と独立心を象徴していると言えるでしょう。

彼の他の言葉からも、孤独な戦いを支えた強い信念が伝わってきます。『鬼滅の刃』を通して、義勇の名言が炭治郎を成長させたように、読者にとっても生き方を考える上で力強い指針となることを願います。

※当記事は2024年11月時点の情報をもとに作成しています

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