「千と千尋の神隠し」は、2001年に公開されたスタジオジブリの傑作であり、異世界に迷い込んだ少女・千尋が成長する姿を描いた物語です。監督の宮崎駿氏が手掛けたこの作品は、多くの人々に感動を与え、第52回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞し、世界的にも高く評価されています。
千尋は、特別な力を持たない「普通の女の子」として描かれますが、異世界での試練を通じて彼女の内なる強さが浮かび上がります。湯屋「油屋」での仕事を通じて、彼女は他者との関わり方や自立心を学び、成長します。当記事では、「千と千尋の神隠し」の魅力をキャラクターに焦点を当てて解説します。
1.「千と千尋の神隠し」はどんな作品?
引用:スタジオジブリ
「千と千尋の神隠し」は2001年に公開されたスタジオジブリ作品です。異世界に迷い込んでしまった少女・千尋がさまざまな人に助けられながら神様のための湯屋「油屋」で働き、徐々に成長し生きる力を得ていく物語です。
「もののけ姫」以来4年ぶりに宮崎駿監督が手がけた長編アニメーション作品であり、公開当時から大きな話題となりました。国内の興行収入は316億円を突破しており、第52回ベルリン国際映画祭では金熊賞を、第75回アカデミー賞では長編アニメーション賞を受賞しています。
2.「千と千尋の神隠し」に登場する魅力的なキャラクター
引用:スタジオジブリ
スタジオジブリ最大のヒット作である「千と千尋の神隠し」には、魅力的でインパクトのあるキャラクターが多く登場します。キャラクターたちが主人公である千尋とどのように関わり、千尋に変化をもたらすのかが見どころの1つです。
ここでは、「千と千尋の神隠し」に登場するキャラクターについて詳しく解説します。
2-1.荻野千尋(千)
引用:スタジオジブリ
主人公である荻野千尋は、少し内気で怖がりな普通の小学生。しかし、引っ越しの途中で両親と不思議なトンネルを抜けてしまい、異世界に迷い込んでしまいます。両親は神様をもてなすためのご馳走を食べてしまったことで豚に変えられてしまい、千尋自身も湯屋「油屋」の主人である湯婆婆に名前を奪われ、「千」として油屋で働きはじめます。
油屋ではさまざまな人と出会い、仕事をこなして大きく成長していく千尋。しかし千尋は特別な力を持っていたり人と違う特技を持っていたりすることはなく、あくまでも「普通の女の子」として描かれます。そんな千尋が慣れない環境で懸命に頑張る姿は、たくさんの人の共感を呼び、勇気を与えています。
2-2.ハク
引用:スタジオジブリ
ミステリアスな少年・ハクは油屋の中で困っている千尋を助け、時に支えます。湯婆婆の弟子という側面も持ち、油屋の中では「ハク様」と呼ばれ冷たい表情を見せる場面もあり、謎めいた雰囲気に拍車をかけています。
ハクの正体は「ニギハヤミコハクヌシ」といい、千尋が以前住んでいた場所の近くにある川の神です。ハクの正体が分かり、千尋との過去のつながりが明らかになるシーンは必見です。
2-3.カオナシ
引用:スタジオジブリ
黒い影がお面を付けたような出で立ちのカオナシ。基本的に言葉を話すことができず、身振り手振りをするか、丸呑みにした相手の声を使ってでしか意思疎通ができません。人が求めているものを出現させる力があり、油屋に招き入れてくれた千尋を気に入って手助けをするようになります。しかし、千尋への執着は徐々に大きくなり、油屋全体を巻き込む騒動に発展します。
カオナシと千尋がどのように関わっていくかも、「千と千尋の神隠し」の見どころの1つです。
2-4.湯婆婆
引用:スタジオジブリ
湯婆婆は油屋を経営している魔女で、序盤では千尋の名前を奪い威圧的に接する恐ろしい人物として描かれます。しかし、油屋のお客さんである神様を丁重にもてなしたり、部下である従業員を守ろうとする場面もあったりと、経営者としての腕は確かです。また、息子である坊を溺愛している面もあり、魅力の多いキャラクターです。
千尋の名前を奪い、「千」と名づけるシーンを見たことのある方も多いでしょう。
2-5.銭婆
引用:スタジオジブリ
湯婆婆の双子の姉であり、湯婆婆と同じく強い魔女である銭婆。「沼の底」という場所で1人で暮らしており、優しく落ち着いた人物です。同時に、魔女として冷酷な振る舞いをすることもあり、怖い人物でもあります。
住んでいる場所や振る舞いなど、湯婆婆とは正反対に描かれているのが銭婆の特徴です。千尋にさまざまな助言をしたり、行き場をなくしたカオナシに居場所を与えたりするなど、物語にもさまざまな影響を与えます。穏やかな人物ではあるものの、絵コンテには「やさしくなりすぎないように」と注釈がされていたそうで、さまざまな側面がある魅力的なキャラクターだと言えるでしょう。
2-6.釜爺
引用:スタジオジブリ
6本の手足を持つ釜爺の見た目に圧倒された方も多いかもしれません。油屋のボイラー室で働き、湯沸かしや薬湯の調合を任されている釜爺は、6本の手足をフル活用して仕事をこなしています。職人気質で仕事に対しては真面目ですが、根は優しく、千尋にとってもおじいちゃん的な存在となります。
物語の序盤、油屋を1人で進まなければならない千尋を最初に手助けしてくれるキャラクターであり、厳しさの中にもやさしさのある人物です。
2-7.リン
引用:スタジオジブリ
油屋で働く少女であり、千尋の先輩として力を貸してくれるのがリンです。男勝りな口調でさっぱりとした性格ですが、面倒見のよさもあり、油屋の仕事に慣れない千尋に仕事を教えたり、世話を焼いたりしてくれます。
千尋が人間であることを驚いているので、おそらくは本当の姿があるキャラクターですが、出自や油屋で働くことになった経緯などは謎に包まれています。しかし、千尋の頑張りを認めてくれ、活躍を素直に喜んでくれるなど、頼れる先輩として人気の高い人物です。
2-8.坊
引用:スタジオジブリ
湯婆婆の息子で、大きな赤ちゃんの見た目をしている坊。湯婆婆から外に出てはいけないと言われているため、世間知らずで幼く、わがままな性格をしています。過保護な湯婆婆に育てられ、すぐに癇癪を起こしてしまうものの、千尋と一緒に冒険を繰り広げることで坊も大きく成長します。
当時子役だった神木隆之介さんが声優を務めており、人気の高いキャラクターでもあります。
2-9.千尋の両親
引用:スタジオジブリ
千尋とともに不思議なトンネルをくぐって異世界に迷い込んでしまう千尋の両親。その好奇心から、神様のために用意されている食事を勝手に食べてしまい、豚に変えられてしまいます。千尋は豚に変えられてしまった両親を助けるために油屋での生活を頑張ることになるので、物語の動機とも言えるキャラクターです。
2-10.ススワタリ
引用:スタジオジブリ
ススワタリは「となりのトトロ」でも登場しており、ジブリ作品が好きな方にはおなじみの存在かもしれませんが、作品によって設定などは異なります。
「千と千尋の神隠し」に登場するススワタリはボイラー室で釜爺の指示のもとで働いており、石炭を運ぶ仕事をしています。金平糖が好きで、ご褒美に金平糖をもらうシーンはかわいくて印象的です。
2-11.神様たち
引用:スタジオジブリ
引用:スタジオジブリ
湯屋「油屋」は神様が疲れを癒しにくる銭湯であり、作品にはさまざまな神様も登場します。大根のような白い神様「おしらさま」やひよこのような神様「オオトリさま」、赤い装束を身にまとった「春日さま」などが印象的です。
また、強烈な臭いを発しながら来店する「オクサレ様」は名のある河の主で、千尋が接客をすることになります。オクサレ様との出来事を経て千尋自身も成長します。
まとめ
「千と千尋の神隠し」は、2001年に公開された長編アニメーション映画で、スタジオジブリの代表作の1つです。特別な力を持たない「普通の女の子」である主人公の千尋が異世界での試練を乗り越え、成長していく姿は、多くの観客に勇気と感動を与えます。
「千と千尋の神隠し」に登場するキャラクターたちもまた、個性豊かであり、物語に深みを与えています。千尋と彼らとの関わりが、物語の核心を形成しており、観ている人の心に残る物語を紡ぎます。まだ見たことがないという方は、ぜひ「千と千尋の神隠し」をチェックしましょう。
※当記事は2024年8月時点の情報をもとに作成しています