新海誠監督の「すずめの戸締り」は、災いをもたらす扉を閉めるために旅をする少女・鈴芽の物語です。作中では、謎の猫・ダイジンが重要な役割を果たします。
当記事では、ダイジンの正体や彼が鈴芽たちに対して行った数々の行動の意味について詳しく考察し、「ダイジンは何がしたかったのか」という疑問を紐解きます。作品の深層に触れることで、「すずめの戸締り」の魅力をさらに堪能できるでしょう。作品をより深く楽しみたい人は、ぜひご覧ください。
1.すずめの戸締りとは?主要人物とあらすじ
すずめの戸締りは、宮崎県で暮らす主人公・鈴芽が、日本各地にある災いのもととなる「後ろ戸」と呼ばれる扉を閉めるために旅をする物語です。
物語は、「扉を探してるんだ」という青年・草太に鈴芽が出会うことで、大きく動き出します。彼の後を追って山中の廃墟に迷い込んだ鈴芽が見つけたのは、古ぼけた扉。扉の向こう側から災いが訪れるとして、扉を閉める役割を担っている草太は、突然現れた謎の猫によって椅子の姿に変えられてしまいます。
すずめの戸締りは、2016年公開の「君の名は。」や2019年公開の「天気の子」などを手掛けた新海 誠監督の作品です。2022年に公開された本作は、前作の「天気の子」から3年ぶりとなる最新作となりました。
ここでは、本作の主要人物となるキャラクターについて解説します。
1-1.岩戸 鈴芽
本作の主人公である岩戸鈴芽は、宮崎県の田舎町で叔母の環と2人暮らしをしている17歳の女子高生です。作中では、日本各地で開き始めた災いをもたらす扉を閉めるため、「戸締まりの旅」をします。
岩戸鈴芽役を務めるのは、オーディションで1,700人を超える応募者の中から選ばれた原菜 乃華さんです。
1-2.宗像 草太
#すずめの質問箱📮
— 映画『すずめの戸締まり』公式 (@suzume_tojimari) April 5, 2024
【Q】なぜ草太さんは閉じ師の仕事をしつつ教師になろうと思ったんですか?また何の先生ですか? 個人的に草太さんはルミさんのところで双子ちゃんと遊んでいるところを見て、小学校の先生っぽいなと思っています!… pic.twitter.com/fAwZC2FJky
宗像草太は、災いをもたらす「後ろ戸」と呼ばれる扉を閉める役割を持つ青年です。「閉じ師」として全国に散らばった扉を探す途中で鈴芽と出会いますが、2人の前に現れた猫のダイジンによって、3本足の椅子の姿に変えられてしまいます。
宗像草太役を務めるのは、監督である新海誠さんが「内面の豊かさ」を評価した松村北斗さんです。
1-3.ダイジン
ダイジンは、鈴芽と草太の前に突然現れた、人の言葉を話す謎めいた猫です。見た目は、大きな黄色い瞳が印象的な可愛い白猫でありながら、各地の扉が開く場所に姿を現し、鈴芽と草太を翻弄します。
ダイジン役を務めるのは、山根 あんさんです。
2.すずめの戸締りのダイジンの正体とは?
謎の猫として登場するダイジンの正体は、扉の向こう側の常世からやってきた「要石」の化身です。要石とは、地震のような災害を鎮める力を持つとされる石を指します。
ダイジンは、日本の東西に1つずつ存在する要石の1つとして西日本に存在し、「ミミズ」と呼ばれる地震を引き起こす災いを封じていました。しかし、鈴芽が要石を引き抜いたことで、要石の氷が溶け、ダイジンは猫の姿に変わります。
物語のセリフや各シーンから考察すると、ダイジンはもともと人間であった可能性が高いキャラクターです。草太が椅子に姿を変えられた後に要石となったように、ダイジンも人間の姿を変えられた後、要石になったと考えられます。
ダイジンという名前の由来は、大いなる力を持つ神「大神」と、強大で大事な役割を担う「大臣」を意味することが、映画パンフレットで説明されています。
3.すずめの戸締りのダイジンは何がしたかった?
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— 映画『すずめの戸締まり』公式 (@suzume_tojimari) March 7, 2023
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物語の途中で、ダイジンは要石としての役割から解放され、自由の身を手に入れました。その後、日本各地を逃げ回り、鈴芽たちを翻弄する自由なダイジンの姿に、本作を見た人たちからは「何がしたかったのか分からない」という意見が多く集まっています。
ここでは、ダイジンが取った行動の意味や目的について考察します。
3-1.草太を次の要石にしたかった
ダイジンは自由の身を手に入れたものの、災いを封じる役割から完全に逃れるためには、自分以外の存在に要石としての立場を引き継がせる必要がありました。
ダイジンはもともと鈴芽と草太の前に現れたとき、「おまえは じゃま」と草太に言って椅子の姿に変えています。邪魔者であった草太に要石の役割を引き継がせて排除するために、日本各地に逃げ回るようにして、草太が要石になるまで見守っていた可能性が考えられます。
3-2.鈴芽と一緒にいたかった
ダイジンにとって鈴芽は、自分を解放してくれた恩人であり、特別な存在です。また、鈴芽はダイジンにご飯を与え、「うちの子になる?」とも言っています。
自分を自由にしてくれた恩人であり、特別な存在である鈴芽のことを大好きになったダイジンは、一緒にいたいという強い思いを抱いていた可能性が高いと考えられます。
3-3.鈴芽を過去の出来事から解放させたかった
鈴芽は、東日本大震災により母親を亡くし、辛い記憶を抱えたキャラクターです。ダイジンは、大好きな鈴芽が抱えた過去の苦しみから解放するために、日本各地の扉がある場所に出没していた可能性があります。
最終的に、ダイジンは鈴芽を生まれ故郷である気仙沼に導きました。自分を自由にしてくれた鈴芽への恩返しとして、ダイジンは戸締まりの旅を通じて、鈴芽が過去と向き合う手助けをしていたと考えられます。
4.すずめの戸締りのダイジンがかわいそうと言われる理由
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— 映画『すずめの戸締まり』公式 (@suzume_tojimari) December 16, 2022
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ダイジンは「何がしたかったのか分からない」と言われることが多い一方で、「かわいそう」と感じる人も多いキャラクターです。
なぜダイジンがかわいそうなのか、その理由について詳しく解説します。
4-1.鈴芽に拒絶されたため
ダイジンが鈴芽を好きになる一方で、鈴芽はダイジンを嫌ってしまいます。物語を見た人が「かわいそう」と感じるのは、鈴芽に拒絶されるダイジンの姿が切なく映るためです。
鈴芽がダイジンを嫌った理由は、草太を椅子に変えたり、日本各地に逃げ回って2人を翻弄したりしたことにあると考えられます。鈴芽に拒絶されたダイジンが痩せ細る姿は痛々しく、多くの人が「かわいそう」と感じたシーンの1つです。
4-2.子供のまま要石になったため
ダイジンは、見た目が子猫である点や幼い言葉遣いで喋る姿から、人間であったときの幼少期に要石になった可能性があると考えられます。物語の途中で鈴芽の子になることを強く望んでいた点も、もともとは人間の子供だったのではないかという理由の1つです。
子供のまま要石の役割を背負っていたとすれば、人間として大人に成長する過程で、多くの人が体験するような出来事を経験できなかった可能性があります。
たとえば、両親との生活、恋愛、将来の夢を叶えるなどの経験です。人間として過ごせず、多くの経験ができなかった可能性があるダイジンを、多くの人が「かわいそう」と感じています。
4-3.後ろ戸に案内したが気づいてもらえなかったため
日本各地を逃げ回っているように見えたダイジンは、実際には地震発生の原因となる災いをもたらす「後ろ戸」に、鈴芽と草太を案内していました。しかし、鈴芽と草太はダイジンがなぜ自分たちを翻弄するような行動を取るのか、本当の理由に気づくことができません。
反対に、災いをもたらし地震を起こしているのはダイジンだと勘違いされてしまいます。
鈴芽と草太を案内していたにもかかわらず、災いをもたらす原因として悪者扱いされたダイジンの姿は、見る人に「かわいそう」と思わせました。
5.すずめの戸締りのダイジンは最後どうなった?
本日は!
— 映画『すずめの戸締まり』公式 (@suzume_tojimari) November 28, 2022
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ダイジンは猫の姿となり自由の身になったものの、最終的には再び自分が要石になることを選択します。鈴芽が草太の代わりに要石になると言ったのが理由です。
当初、ダイジンは鈴芽と一緒にいるため、邪魔者である草太を要石にすることを企んでいました。しかし、鈴芽が草太のことを好きだと気づいたのをきっかけに、鈴芽を悲しませないように、自分が要石に戻る決断をしたと考えられます。
要石に戻るのは、自由を失うことを意味します。災いを封じるために何十年にもわたって動けなくなる道を選んだのは、大好きな鈴芽を想ってのことでしょう。鈴芽の手で要石に戻してもらおうとするダイジンの姿は、見る人に切なさを感じさせました。
まとめ
「すずめの戸締り」におけるダイジンは、災いを封じる要石の化身であり、猫の姿で鈴芽たちの前に現れます。彼の行動には、自由を手に入れたいという願い、鈴芽に対する特別な思い、さらには彼女を過去の苦しみから解放したいという意図が込められています。
しかし、鈴芽に拒絶され、子供の姿のまま要石となった可能性のあるダイジンには哀しさが漂います。こうした複雑な感情が「かわいそう」と感じさせる要因です。ダイジンについて理解することで、「すずめの戸締り」の物語の奥深さを感じられるでしょう。
※当記事は2024年11月時点の情報をもとに作成しています