映画「タイタニック」は、豪華客船タイタニック号の悲劇的な沈没事故を題材にした1997年公開の名作映画です。豪華なビジュアルと感動的なストーリーが多くの観客を魅了し、今なお語り継がれています。
この記事では、タイタニック号の実際の事故に関する詳細や、映画が名作とされる理由について詳しく解説します。タイタニック号の建造背景から沈没の原因、そして生存者や映画に登場する人物の実在性など、興味深い情報をお伝えします。
1.映画「タイタニック」は実話に基づく物語
映画「タイタニック」は、豪華客船タイタニック号が沈没した実際の事故に基づく物語です。タイタニックは1997年に公開された作品なので、タイタニック号の事故がいつどこで発生したのか、映画の内容はどこまでが事実なのかなどを知らない方も多いでしょう。以下では、タイタニック号の詳細や事故の原因、映画が名作と呼ばれている理由などについて詳しく紹介します。
1-1.そもそもタイタニック号とは?
タイタニック号とは、20世紀初頭にイギリスのホワイト・スター・ラインという会社が建造した豪華客船です。タイタニック号は大西洋横断用に造られたもので、当時としては世界最大規模の大型客船でした。姉妹船に、オリンピック号と後に病院船として運航されるブリタニック号があります。
タイタニック号は、1912年4月10日に初めての航海に出発しました。そしてわずか4日後、4月14日に映画の題材となった事故が発生し、海に沈むことになります。
1-2.タイタニック号が沈没した原因は?
タイタニック号は処女航海の4日後、1912年4月14日に、ニューファンドランド沖の北大西洋で氷山と衝突しました。流れ込んだ大量の海水によって船内はみるみる浸水し、約2時間40分後にタイタニック号は海中に沈みました。
当時の海難事故として史上最多の死者を出したタイタニック号の事故。多大な犠牲者を出した理由としては、以下のようなことが考えられています。
- 救命ボートが足りず、乗客全員の避難はそもそも不可能だった
- ヒューマンエラーにより氷山を見落としていた
また、氷山に衝突する前に船内で火災が発生していたという説や、船長の判断ミスが原因だったという説もありますが、事故原因の詳細は複数の要因が絡み合っているため、一概には特定されていません。
1-3.タイタニック号沈没事故の生存者は?
沈没事故当時、タイタニック号には乗員乗客合わせて2,200人以上が乗っていましたが、1,500人以上が死亡し、生存者は約700人でした。救命ボートに乗り込むことが叶った乗客が生き延びられたと言われています。
タイタニック号の沈没事故の生存者たち自身も、命を脅かす恐ろしい事故に遭遇したことや、多くの犠牲者を目の当たりにしたことに変わりはありません。生存者の中には精神を病んで自ら命を絶った人もおり、事故が与えた心の傷の深さが伺えます。
1-4.映画「タイタニック」が名作と言われている理由
映画「タイタニック」の制作費は、タイタニック号の建造費を上回っています。タイタニックを手掛けた監督ジェームズ・キャメロンさんはタイタニック号に強く惹かれており、映画の制作にあたって私財さえも投げ打ちました
タイタニック号に関する図面設計図や文献を買いあさり、船体や内装だけではなく、船底や調度品、カトラリーに至るまで忠実に再現しています。こだわり抜かれたセットの再現度の高さが、タイタニックが名作と称される理由の1つです。
1-5.タイタニック号の現在
タイタニック号は、事故から73年後の1985年9月に海底で発見されました。しかし、現在の技術ではタイタニック号ほどの巨大な沈没船を引き上げることはできないため、悲劇から100年以上経った今でも海に沈んだままです。
タイタニック号は海底に沈んでからかなりの年数が経ち、腐食が進んでもろくなっていることも、引き上げが難しい理由の1つです。タイタニック号から遺品を盗み出す者も現れ始めたため、現在はユネスコや専門機関が保護対象に指定しています。
2.実話?フィクション?タイタニック号沈没事故の豆知識
映画「タイタニック」の中には、魅力的な登場人物たちや印象的なシーンがいくつも存在します。タイタニックを構成する重要な要素の数々が、実話かフィクションかについて解説するので、映画や歴史に興味がある方はぜひご覧ください。
2-1.ローズのモデルは実在した?
映画「タイタニック」には、エドワード・ジョン・スミス船長やホワイト・スター・ライン社のブルース・イズメイ社長といった実在の人物が登場します。登場人物の中でも特に印象的な人物として、ヒロインのローズを挙げる方は多いでしょう。ローズは実在の人物ではなく、実際のタイタニック号には乗船していません。しかし、ローズにはモデルがいると言われています。
ローズというキャラクターは、アメリカ人芸術家ベアトリス・ウッドさんという女性をモデルに作られました。ベアトリスさんは女性の地位が低い時代に芸術家として活躍した女性であり、生き生きと作品を作り上げる彼女の姿が監督にインスピレーションを与えたと言われています。
2-2.抱き合って最期を遂げる老夫婦は実在した?
映画「タイタニック」で抱き合いながらタイタニック号とともに海中に沈む老夫婦は、実在の人物でした。百貨店経営者のイジドー・ストラウスさんとその妻アイダさんです。
ストラウス夫妻はファーストクラスの乗客で、救命ボートに優先的に乗せてもらえる予定でした。しかし、イジドーさんは女性と子どもの避難を優先させるために、自分は脱出することを拒みます。夫の気持ちを知ったアイダさんも船内に残る道を選択し、2人はタイタニック号と運命をともにしました。目撃者によると、ストラウス夫妻は最後まで抱き合っていたと言います。
2-3.避難する人々のために演奏し続けた楽団は実在した?
映画「タイタニック」の中でも、沈みゆく船の中で音楽を奏で続ける演奏家たちの姿や音色が印象に残っている方も多いでしょう。海難事故という危機的状況の中で、乗客の心を落ち着かせるために演奏を続けた楽団は実在しました。
実際のタイタニック号に乗っていたのは、バンドマスターのウォレス・ハートリーさんを含む8人のメンバーです。彼らは船が沈没するそのときまでほかの乗客たちのために演奏を続け、メンバーは全員が亡くなりました。
2-4.三等客室の乗客は逃げ延びるのが難しかった?
タイタニック号には一等客室から三等客室までの種類があり、一等客室には高額な料金を支払った裕福な乗客が宿泊していました。タイタニック号の救命ボートは数が不足しており、そもそも全員が生き延びるのは困難な状況です。そこで、事故当時には一等客室の乗客から優先的に避難誘導されるという、社会階級に基づく残酷な選別が行われました。
三等客室の乗客は、避難の順番が回ってくるどころか、避難できないように閉じ込められたと言います。結果として、三等客室の乗客は逃げ延びるのが難しく、多くの犠牲者が出ました。
2-5.船長は逃げずに操舵室に残った?
映画「タイタニック」では、船長が操舵室に残り、タイタニック号と運命をともにするシーンが印象的です。しかし、実際には船長の遺体は引き上げられておらず、生死不明となっています。一部では生存説も囁かれていますが、船長が生存していたという証拠はなく、証言や記録から船長が船とともに沈んだと考えられています。
2-6.日本人の乗客・生存者はいた?
実は、タイタニック号には1人だけ日本人が乗船していました。彼は細野 正文さんと言い、ミュージシャンである細野 晴臣さんの祖父にあたります。
細野さんは当時、事故から生還した奇跡の日本人として国中から祝福されました。しかし、「救命ボートに日本人が無理やり乗った」というほかの生存者の証言が伝わると、一転して猛バッシングを受け、職まで失います。後の調査で、証言にある「日本人」がほかのアジア人だったことが分かり潔白が証明されたものの、細野さんは亡くなるまで一切の反論をせず、沈黙を守り続けました。
3.タイタニック号に関する都市伝説
タイタニック号には、以下をはじめとするさまざまな都市伝説があります。
- 実は沈んだのはタイタニック号ではなく姉妹船だった
- タイタニック号に積まれたミイラの呪いによって事故が発生した
- 沈没事故を予言する小説が出版されていた
ある程度の知名度があり、秘匿された情報がある大きな事件・事故には都市伝説や陰謀論が付随しやすく、タイタニック号も例外ではありません。
また、映画「タイタニック」には「主人公のジャックはタイムトラベラーだった」という興味深い都市伝説もあります。ジャックの身なりやいくつかの発言が事故当時より先の時代を指していることから囁かれた都市伝説です。見方によっては映画に新たな楽しみ方を生み出す要素とも言えるでしょう。
まとめ
タイタニック号の沈没事故は、史上最も悲劇的な海難事故の一つとして多くの人々の記憶に残っています。映画「タイタニック」は、その悲劇を感動的に描き、観客に深い印象を与えました。映画に登場する人物や出来事の多くは実話に基づいており、細部に至るまで忠実に再現されています。
タイタニック号の沈没事故は、技術や安全対策の重要性を再認識させるものであり、今後も多くの人々に語り継がれていくことでしょう。映画「タイタニック」を通じて、この悲劇的な歴史に思いを馳せることができれば幸いです。
※当記事は2024年6月時点の情報をもとに作成しています