音楽活動をする中で、レーベルから所属の打診がくることもあります。レーベルと契約し、会社の組織に所属すると活動方法や収入が変わるので、レーベルについて理解した上で契約を決めることが大切です。
今回は、レーベルとレコード会社の違い、レーベルと契約するときの注意点を紹介します。インディーズとメジャーの違いや、それぞれのメリット・デメリットもまとめているので、音楽活動をしている人は、ぜひ当記事をお役立てください!
1.レーベルとは?レコード会社との違いは?
レーベル(label)とは、レコード会社の組織の1つで、アーティストが所属してCDをつくる部門のことです。もともとは、レコードの中央に貼る、曲名やアーティスト名を記載したラベルのことをレーベルと言いました。それから派生して、今ではレコード会社の一部門を指す言葉として定着しています。
一方、レコード会社は、レコード(CD)を出す会社のことです。販売、流通、広告など、楽曲を広めていくための活動を行います。アーティストが契約するのはレーベルであり、レコード会社に所属するわけではありません。
1-1.レーベルを分ける意味
レーベルは、組織としての活動を明確化するために、楽曲のターゲットや方向性が決まっています。各レーベルがスカウトするのは、「自分たちのレーベルにふさわしい」と判断したアーティストです。そのため、1つのレーベルに所属するアーティストの音楽性は似たものになります。
レコード会社がレーベルを分けることには、それぞれのジャンルの音楽をより専門性の高い形で制作できるというメリットがあります。このため、レコード会社は複数のレーベルを抱え、ジャズ、ロック、アニメソングなど、さまざまなジャンルの音楽を制作するケースが一般的です。
2.レーベルとの契約における注意点
レーベルと契約すると、アーティストは所属したレーベルからCDを出すことになります。すべての音楽活動はレーベルを通して行い、売上はレーベルとアーティストで分配します。
レーベルと契約する際には、下記の点に注意しましょう。
報酬の仕組み | 多くは完全歩合制で、売上の何%かがアーティストに支払われます。ただし、新人などの場合は、給料(定額報酬制)が設定されることもあります。 |
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契約期間 | 契約期間内は、基本的に条件変更が難しくなります。数年後、レーベルの移籍や独立を検討する必要があるかもしれないので、3年以上にわたる長期間の契約は控えたほうが無難です。また、「一度だけ契約の延長が可能」など、レーベル側に有利な条件にも注意しましょう。 |
商標・著作権 | 商標(バンド名)に関する同意書に応じると、レーベルがバンド名を自由に利用できるようになり、後々トラブルに発展する可能性も。また、著作権や原盤権は誰に所属するのかという点も確認しましょう。 |
レーベルとの契約次第で、音楽収入の割合や、活動の制限などが決まるので、その場の空気に流されて契約することは危険です。レーベルと契約する際には、契約書を隅々まで確認し、納得した上でサインしましょう。
3.インディーズとメジャーの違い
インディーズとは、「日本レコード協会」に加盟していないレコード会社のレーベルに所属するアーティストや、個人で活動するアーティストのことです。有名アーティストでも、インディーズで活躍する人は大勢います。
一方、メジャーとは、「日本レコード協会」に加盟しているレコード会社のレーベルに所属するアーティストのことです。大手レコード会社なので資本が大きく、よりアクティブに音楽活動ができます。
自分の夢を叶えるためにも、レーベル選びは慎重に行いましょう。ここでは、インディーズとメジャーの大きな違いを2点解説します。
3-1.メディアへの露出
インディーズの場合は交渉力が弱く、テレビや雑誌に簡単に出れるわけではありません。メディア露出が多いインディーズアーティストは、既にインディーズとして有名であり、口コミを聞きつけたテレビ会社や音楽雑誌からアポイントメントを受けるケースがほとんどです。
一方、メジャーアーティストになると、大手レコード会社による強力なバックアップのもと、さまざまなメディアに出演できる可能性があります。デビュー当初から、音楽雑誌やテレビ、ラジオなどに出演するアーティストは珍しくありません。CDショップに並ぶCDも、ほとんどがメジャーアーティストのものです。
3-2.収益の分け方
インディーズでは、広告費や人件費といった経費がかからないので、アーティストに対する売上配分も多いケースが一般的です。CD販売よりも、ライブのチケット代からの収入がメインになることも多いでしょう。
一方、メジャーでは、大手レコード会社に所属する分、アーティストの配分率も少ない傾向にあります。広告宣伝代のほか、中間手数料や販売手数料などもかかるので、思うような報酬が得られないことも。
4.インディーズのメリット・デメリット
インディーズのメリットは、自由な作品づくりが行えることです。ここでは、インディーズのメリット・デメリットを紹介します。
【インディーズのメリット】
- 細かな制約に縛られず、比較的自由に音楽制作ができる
- プロデューサーやマネージャーとの距離が近い
- 売上や知名度にとらわれることなく、自分たちの音楽を追求できる
【インディーズのデメリット】
- レーベルのマーケティング力が弱い
- 飛躍的に有名になることは難しい
- 自分たちの力でファンを獲得していく必要がある
インディーズは中小規模のレコード会社が多いため、販促活動に割ける資金が限られており、社会的な影響力も強くはありません。そのため、集客数の増やし方からCDを売る方法まで、アーティスト自身がアイデアを出して実行する必要があります。
しかし今は、音楽活動に関する情報発信はインターネットがメインなので、工夫次第ではインディーズでもメジャーに劣らない宣伝活動ができるでしょう。
インディーズでは地道な活動が多くなるものの、信頼できる仲間とともに音楽制作に取り組めることは大きな魅力です。音楽関係者とも本心で語り合え、自分の価値観を大切にできるでしょう。
5.メジャーのメリット・デメリット
メジャーのメリットは、圧倒的なブランド力にあります。メジャーのメリット・デメリットは、次の通りです。
【メジャーのメリット】
- レーベルのマーケティング力が強い
- 全国的に音楽活動ができる
- 軌道に乗れば、雑誌、テレビ、アルバム制作など、仕事が多く舞い込む
【メジャーのデメリット】
- 制約が多く、比較的自由度が低い
- アーティストの意思よりもレーベルの方向性が重視されやすい
- 実績が出なければ解雇される可能性もある
メジャーレーベルに所属すると、全国的に有名なアーティストになれる確率が高いです。MVの撮影やライブの衣装などにもお金をかけることができ、世界観の表現力も高まります。
しかし、大手レコード会社であるがゆえに、インディーズに比べて契約条件が厳しいというデメリットがあります。音楽制作もビジネスライクになり、レーベルの方向性にそぐわない楽曲は却下されることも。
また、メジャーデビューしたからといって、必ずしもアーティストとして人気が出るとは限りません。周囲の期待を背負い、「売れなければならない」というプレッシャーを抱えることもあるでしょう。
音楽活動以外の悩みや課題は増えますが、バックアップが大きいことはメジャーならではの魅力です。
まとめ
レーベルとは、レコード会社の組織の1つです。アーティストが所属しCDをつくる部門であり、レコードを出すレコード会社とは規模や活動内容が異なります。レーベルを分けることで、レーベル会社は各ジャンルの音楽をより専門性の高い形で制作できます。
レーベルと契約すると、アーティストは所属したレーベルからCDを出すことになるので、さまざまな制限を課されます。報酬の仕組み、契約期間、商標・著作権についてよく確認してから契約を決めましょう。
インディーズとメジャーそれぞれに魅力があり、また注意点もあります。どちらがよいかは活動の目的・目標によって変わるでしょう。