廻廻奇譚とは、週刊少年ジャンプで連載されている「呪術廻戦」が2020年の秋にアニメ化した際に、オープニングソングとしてEveが書き下ろした楽曲です。廻廻奇譚は呪術廻戦の、人間の負の感情が具現化した呪霊と、呪霊を祓う呪術師の争いを描いた世界観に沿った歌詞になっています。
当記事では、Eveのファンだけでなく呪術廻戦のファンにも大きく評価された廻廻奇譚の歌詞を、呪術廻戦との関連性と一緒に解説します。廻廻奇譚の歌詞の意味を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
1.【Eve】廻廻奇譚（かいかいきたん）とは？
「廻廻奇譚」は、TVアニメ呪術廻戦OP用に書き下ろされた一曲です。独特のアップテンポなメロディとハイトーンボイスが織りなす複雑な歌詞は「2022年で一番難易度の高い歌」と呼ばれ話題になりました。廻廻奇譚を歌うのは、日本の男性シンガーソングライターのEve（イブ）です。
以下は、Eveのプロフィールです。
| 名前 | Eve（イブ） |
|---|---|
| タイアップ |
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| 登録者数（2022/11/01時点） |
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Eveは2009年からインターネットを中心に活動し、2019年のメジャーデビューを果たしている「次世代シンガーソングライター」です。陰影のある独自の表現世界と音楽性が高く評価されており、本名や年齢なども非公開と謎に包まれた覆面系アーティストとしても知られています。
Eveの代表作品である「廻廻奇譚」は、2020年からロングヒットを記録しています。以下は、廻廻奇譚の楽曲情報です。
| 曲名 | 廻廻奇譚 |
|---|---|
| リリース日 | 2020.10.03 |
| 作詞・作曲 | Eve |
| 編曲 | Numa |
| ストリーミング再生回数 | Spotify：2.6億回 AWA：400万回 |
| YouTube MV再生回数 | 2.7億回 |
| 収録アルバム | 「廻廻奇譚 / 蒼のワルツ」 オリコンアルバムチャート1位 |
※2022/11/01時点
2021年11月に公式MVがYouTubeにアップロードされると、Eveのファンだけでなく呪術廻戦のファンからも圧倒的な支持を集めました。2022年11月1日時点での再生回数は2.7億回を超えており、多くの人がEveの歌声に魅了されていることが伺えます。
2.廻廻奇譚の歌詞の意味とは？
Eveは以前より週刊少年ジャンプの人気漫画「呪術廻戦」のファンであることを公表していました。自身のラジオ番組では、「まず曲を書くにあたって、（呪術廻戦を）最新刊まですべて読み返した」「愛が重たくなった」と、楽曲への思い入れの深さを語っています。
ダークな雰囲気と壮快感溢れる空気感を表現しつつ、登場キャラクターの心情に寄り添う歌となっており、原作読者からも「物語の世界観にピッタリ」と高く評価されています。
ここでは、「廻廻奇譚」の歌詞の意味を、アニメの内容と照らし合わせながら考察します。
2-1.【1番Aメロ-1】有象無象 人の成り～
有象無象 人の成り
虚勢 心象 人外 物の怪みたいだ
引用：Eve廻廻奇譚特設サイト/引用日/2022/10/31
「人間はろくでもない連中も多く、人としての道を外れた怪物のようになることもある」と解釈できます。呪術廻戦の「人間の憎しみや苦しみが呪いという怪物を生む」という作中の設定を表現しているのでしょう。
【用語の意味】
- 有象無象･･･数は多いが種々雑多なくだらない人や、物ろくでもない連中
- 虚勢･･･みせかけの威勢
- 心象･･･心の中に描き出される姿、イメージ
- 物の怪･･･人にとりついて祟りをする死霊・生き霊・妖怪
2-2.【1番Aメロ-1】虚心坦懐 命宿し～
虚心坦懐 命宿し
あとはぱっぱらぱな中身なき人間
引用：Eve廻廻奇譚特設サイト/引用日/2022/10/31
「素直で穏やかな命であるものの、中途半場で中身のない人間が多い」という負の感情が描かれています。呪術廻戦の世界では、非術師に該当する歌詞と言えるでしょう。
【用語の意味】
- 虚心坦懐･･･何のわだかまりもない素直な心で、物事にのぞむこと
2-3.【1番Aメロ-2】寄せる期待 不平等な人生～
寄せる期待 不平等な人生
才能もない 大乗 非日常が
引用：Eve廻廻奇譚特設サイト/引用日/2022/10/31
原作の主人公である「虎杖 悠二」について表現された歌詞であると言われる部分です。
「祖父からの期待・両親不在の生い立ち、奇しくも宿儺の指を取り込んだことが結果として多くの人を救うための大乗となり、人生が一転した」という原作序盤の展開が、この2行に詰め込まれています。
【用語の意味】
- 大乗･･･理想に達するための大きな乗り物（仏教語）
2-4.【1番Aメロ-2】怨親平等に没個性～
怨親平等に没個性
辿る記憶 僕に
居場所などないから
引用：Eve廻廻奇譚特設サイト/引用日/2022/10/31
怨親平等は、まさに呪いの王・頂点である両面宿儺の性格を表しています。仲間を救うため、必死に呪いに立ち向かった結果として「日常」「普通の学生」という居場所をなくし、死刑宣告を受ける主人公の様子を綴ったものでしょう。
【用語の意味】
- 怨親平等･･･恨み敵対した者も親しい人も同じように扱うこと（仏教語）
- 没･･･死ぬ、無くす
2-5.【1番Bメロ】夢の狭間で泣いてないで～
夢の狭間で泣いてないで
どんな顔すればいいか わかってる
だけどまだ応えてくれよ
引用：Eve廻廻奇譚特設サイト/引用日/2022/10/31
「多くの人を救う」という自分の使命と「呪いの世界を作る」という、両面宿儺の思惑の板挟みになっている主人公の心の葛藤を意味しているのでしょう。「応えてくれよ」の力強い歌い方にも、主人公の不屈の精神力を感じさせます。
2-6.【サビ】闇を祓って 闇を祓って～
闇を祓って 闇を祓って
夜の帳が下りたら合図だ
相対して 廻る環状戦
戯言などは 吐き捨ていけと
引用：Eve廻廻奇譚特設サイト/引用日/2022/10/31
サビ部分は、呪いと何度も戦いを繰り返す呪術師たちの様子が表現された歌詞です。原作内で使われている「帳」や「（呪霊を）祓う」という言葉が使われ、一層呪術廻戦のイメージを強く感じさせています。
【用語の意味】
- 戯言･･･たわけた言葉、ばかばかしい話
2-7.【サビ】まだ止めないで まだ止めないで～
まだ止めないで まだ止めないで
誰よりも聡く在る 街に生まれしこの正体を
今はただ呪い呪われた僕の未来を創造して
走って 転んで 消えない痛み抱いては
世界が待ってる この一瞬を
引用：Eve廻廻奇譚特設サイト/引用日/2022/10/31
サビの後半では、主人公達が望む平和な世界への希望や、平和な世界に至るまでの過酷な日々に抗う様子が表現されています。「街に生まれしこの正体」とはおそらく呪いを意味しており、呪術廻戦の登場人物である真人や漏瑚のように知性を持った呪いに脅かされる世界からの脱却を願う内容です。
【用語の意味】
- 聡い･･･理解・判断が的確で早い、賢い
- 創造･･･新しいものを造り出すこと
2-8.【2番Aメロ-1】抒情的感情が揺らいでいくバグ～
抒情的感情が揺らいでいくバグ
従順に従った欠陥の罰
死守選択しかない愛に無常気
声も出せないまま
引用：Eve廻廻奇譚特設サイト/引用日/2022/10/31
2番Aメロ-1では、「呪われた人間にも手をかけ、すべての命を救える訳ではない」という過酷な現実と向き合う主人公たちの心の葛藤を表現しています。「従順に従った欠陥の罰」の部分は、真人に従った順平を意味しているのでしょう。
【用語の意味】
- 抒情的･･･自分の感情を述べ表すこと
- 従順･･･人に逆らわずおとなしい様子
- 無常気･･･世の中をはかなく思う心
2-9.【2番Aメロ-2～Bメロ】傀儡な誓いのなき百鬼夜行～
傀儡な誓いのなき百鬼夜行
数珠繋ぎなこの果てまでも
極楽往生現実蹴って 凪いで
命を投げ出さないで
内の脆さに浸って
どんな顔すればいいか わかんないよ
今はただ応えてくれよ
引用：Eve廻廻奇譚特設サイト/引用日/2022/10/31
原作0巻にて夏油傑が使った「百鬼夜行」という言葉が印象的な2番の歌詞は、連鎖的に起こる様々な呪いに対する呪術師達の必死な奮闘ぶりを彷彿とさせます。なんとか信念を貫き立ち直ろうと奮闘するものの、上手くいかない状況を描写しています。
【用語の意味】
- 傀儡･･･あやつり人形、他人の言いなりに動いて利用されている者
- 百鬼夜行･･･妖怪が夜列をなして徘徊すること、人々の奇怪な振る舞い
- 極楽往生･･･死んだ後に極楽浄土に生まれ変わる、安らかに死ぬ（仏教語）
2-10.【2番サビ】五常を解いて 五常を解いて～
五常を解いて 五常を解いて
不確かな声を紡ぐ イデア
相殺して 廻る感情線
その先に今 立ち上がる手をただ追いかけて ただ追いかけて
誰よりも強く在りたいと願う 君の運命すら
今はただ 仄暗い夜の底に
深く深く落ちこんで
引用：Eve廻廻奇譚特設サイト/引用日/2022/10/31
2番のサビは、「五常を解く：五常を頭に落としこむ」「五条を解く：五条悟の封印を解く」の2つの意味があるのでしょう。強い想いを持ちながら、今は暗い夜に落ちていく呪術師の様子が歌われています。
【用語の意味】
- 五常･･･儒教で人が常に守るべきものとする五つの徳目「仁、義、礼、智、信」
- イデア･･･理念、考え、見解
2-11.【Cメロ】不格好に見えたかい～
不格好に見えたかい
これが今の僕なんだ
何者にも成れないだけの屍だ 嗤えよ
目の前の全てから 逃げることさえやめた
イメージを繰り返し
想像の先をいけと
引用：Eve廻廻奇譚特設サイト/引用日/2022/10/31
周りからどう見られようと笑われようとも、自分自身の目指す未来に向かって全力で進んでいく強い決意が読み取れます。同時に今後の成長を予感させるしめくくりとなっているのが特徴です。
【用語の意味】
- 屍･･･死体、亡骸
まとめ
廻廻奇譚はシンガーソングライターのEveにより書き下ろされた、アニメ呪術廻戦のオープニングソングです。廻廻奇譚では呪術廻戦のダークな世界観に加え、主人公である虎杖 悠二の心の葛藤や決意、また呪術師たちの呪霊と争い奮闘する姿が表現されています。
宿儺という呪いを身に宿しながら呪術師として呪霊と争う主人公の信念、前に進む姿が楽曲全体で感じられる一曲です。ぜひアニメ呪術廻戦と一緒に、廻廻奇譚の世界観を楽しんでください。
