ボーカロイド(VOCALOID)は、世に出てからニコニコ動画を中心に徐々に人気を博し、現在もさまざまなボカロ曲が発表されています。中には、青春時代にボカロ全盛期を迎え、多くの楽曲をよく聞いていた方もいるでしょう。
当記事では、「懐かしい!」と思わず言葉が出るような名曲10曲と、ボカロ初期の隠れた人気曲を3曲紹介します。昔懐かしいボカロの名曲を振り返り、思い出に浸りましょう!
1.懐かしい!ボカロの名曲一覧
ボーカロイドの略であるボカロとは、2004年にヤマハが開発した歌声合成技術・応用ソフトウェアのことです。最も有名なのは、印象的な少女の歌声と可愛いビジュアルを持つ「初音ミク」です。ほかにも「鏡音リン・レン」「Megpoid(メグッポイド)」「がくっぽいど」など、歌声・ビジュアルの異なるさまざまなボカロが存在します。
ここからは、少し前に流行った懐かしいボカロの名曲と、それぞれの魅力や特徴を紹介します。
1-1.いーあるふぁんくらぶ/みきとP
「いーあるふぁんくらぶ」は、みきとPさんによる楽曲です。みきとPさんは「ロキ」「少女レイ」「バレリーコ」をはじめ、数々のヒット曲を制作した作曲家であり、アイドルや声優への楽曲提供も行っています。
「いーあるふぁんくらぶ」はみきとPさんの作品の中でも特に人気が高い楽曲の1つで、中国風のメロディと歌詞に散りばめられた中国語が特徴的です。リズミカルな曲調で気分が上がるだけでなく、「未知の言語への挑戦」というストーリー性を持つ歌詞から勇気をもらえる方もいるでしょう。
1-2.六兆年と一夜物語/kemu
「六兆年と一夜物語」は、PENGUIN RESEARCHのベーシストを務めるkemuさんによる楽曲です。kemuさんは「人生リセットボタン」でボカロデビューし、投稿した数々の曲が300万回以上も再生されています。
楽曲の最初の歌詞「名も無い時代の集落の 名も無い幼い少年の 誰も知らない おとぎばなし」とある通り、「六兆年と一夜物語」は全体を通しておとぎ話のような物語調になっています。
おとぎ話と言ってもストーリーはダークかつ残酷で、歌詞には主人公の人生への諦めが滲み、ところどころに悲しみや孤独が感じられます。すべてが細かく描写されているわけではなく、結末は人によって解釈が分かれるでしょう。切なくゆったりとしたイントロから、一気に加速して最後まで駆け抜けるメロディも、人気の理由の1つとなっています。
1-3.脳漿炸裂ガール/れるりり
「脳漿炸裂ガール」は、「厨病激発ボーイ」「神のまにまに」などで知られる、れるりりさんが制作した楽曲です。アップテンポでクセが強い曲調に合わせて、流れるような早口で紡がれる歌詞が特徴的な作品となっています。
特に、若い年代の方に刺さりそうなワードを散りばめた個性的で中毒性のある歌詞が魅力で、その内容は人によってさまざまな解釈が可能になっています。メロディには全体的にスピード感があるものの、唐突にリズムチェンジするなどエンタメ性にあふれており、飽きがこない楽曲です。
1-4.マトリョシカ/ハチ
「マトリョシカ」は、今や国民的アーティストとなった米津玄師さんが、ボカロPとして「ハチ」名義で活動していた頃に制作された楽曲です。10年以上前に発表された作品ですが、キャッチーな歌詞や耳に残る独特のメロディには、今なお色褪せない魅力があります。
マトリョシカはMVもハチさん自身が手掛けているのが特徴です。原色を使った目を引くイラストは楽曲に見事にマッチしており、マトリョシカの人気を押し上げる一因となっています。マトリョシカに心を掴まれた方は、近い時期に制作された「パンダヒーロー」や「結ンデ開イテ羅刹ト骸」なども聞いてみるとよいでしょう。
1-5.ハッピーシンセサイザ/EasyPop
「ハッピーシンセサイザ」は、「マイルームディスコナイト」などで知られる音楽ユニット・EasyPopが手掛けた楽曲です。
キュートで軽やかなメロディと「恋」をテーマにしたエモーショナルな歌詞が魅力で、多くの一般ユーザーに歌やダンスという形でカバーされました。歌詞には甘酸っぱさがありつつも、恋をしている・していないに関わらず、多くの人の背中を押すようなフレーズがいくつも綴られています。元気が出る曲を探している方におすすめの1曲です。
1-6.カゲロウデイズ/じん
「カゲロウデイズ」はじんさんが制作した楽曲で、じんさんの一連の作品群「カゲロウプロジェクト」シリーズの一作として公開されました。
カゲロウデイズはハードで前衛的なメロディに加え、ストーリー性の強い歌詞が大きな魅力です。主人公は短いスパンでタイムリープを繰り返す少年で、8月15日に「君」が死ぬという未来を変え、自身のループを終わらせるために奔走します。どんでん返し的な展開もあるので、まずは歌詞を調べずに聞いてみるのがおすすめです。
1-7.モザイクロール/DECO*27
「モザイクロール」は、現在でも「ヴァンパイア」や「ラビットホール」など多くの人気曲を発表しているDECO*27さんの楽曲です。
モザイクロールは、バンドテイストの本格派なサウンドと、真っすぐで明快な表現ながら解釈の幅が広い歌詞が人気となっています。「アタシ」と「キミ」の2人が登場する恋愛ソングにも聞こえる一方、2人は同一人物であり、自分自身と向き合う曲とも考えられる、非常に奥が深い作品です。
1-8.炉心融解/Iroha
「炉心融解」は、動画投稿数は少ないものの、何度も聞きたくなる曲作りが得意なIrohaさんが手掛けた作品です。
スタイリッシュなメロディと繊細な世界観、陰鬱さと儚さを併せ持つハイセンスな歌詞の絶妙なバランスが魅力となっています。歌詞は詩的で美しく、比喩表現とストレートな表現との使い分けが見事です。「炉心融解」は、人間の喉で歌うのは簡単ではない、高音域を駆使したサビでも話題になりました。高い音を苦もなく歌い上げる表現はボカロならではと言えるでしょう。
1-9.ローリンガール/wowaka
「ローリンガール」は、ロックバンド「ヒトリエ」のギターボーカルとして音楽界で活躍していたwowakaさんの代表曲の1つです。
白とグレーの抽象的でシンプルな一枚絵が目を引く作品で、イントロから聞く人の心を掴むサウンドとメロディが人気を集めました。全体的に疾走感があるものの、歌詞は詰め込みすぎず、人間が歌う曲のような聞きやすさも魅力と言えます。歌詞に難しい言葉は使われていませんが、どこか抽象的で心に刺さるフレーズばかりで、深く考えさせられる作品となっています。
1-10.東京テディベア/Neru
「東京テディベア」は、10本以上の投稿動画が100万回以上も再生されている、Neruさんが手掛けた人気曲です。
テディベアという可愛いモチーフとは対照的なハードなサウンドのギターロックとなっています。歌詞は出だしから不穏な雰囲気で、全体を通して痛々しいまでの激情が綴られています。散りばめられたキーワードから主人公が何かを作ろうとしていることは察しがつきますが、具体的な解釈は聞く側に委ねられている点も魅力と言えるでしょう。
2.【初期】懐かしいボカロの人気曲3選
『初音ミク Happy 16th Birthday -Dear Creators-』
— 初音ミク 公式 (@cfm_miku) August 30, 2023
初音ミクは2023年8月31日で16周年。
設定年齢と同じ16歳のお誕生日を迎えます🍰
お祝いイラストは「KEI」さんにご担当いただきました✨
サイトで16年の軌跡を公開中✨
ぜひご覧ください👀https://t.co/4YSf4rwpbm#miku16th #初音ミク pic.twitter.com/Qwud51DXki
ボカロ初期の懐かしい曲の中にも、今でも愛されている有名曲がたくさんあります。ここでは、初期のボカロ曲の中から特に人気が高い3曲について解説します。
・初音ミクの消失/cosMo@暴走P
cosMo@暴走Pさんが制作した楽曲です。ボカロならではの実験的な作品で、畳みかけるように高速で歌われる歌詞が強いインパクトを放っています。また、初音ミクの音楽ソフトとしての側面にフィーチャーした歌詞も特徴的で、キャラクターではなく機械としての最後を見据えた歌詞には独特の切なさがあります。
・桜ノ雨/halyosy
シンガーソングライターとしても活躍するhalyosyさんが手掛けた楽曲です。人間では難しい早口や高音といった表現に挑戦するボカロ曲も多い中、「桜ノ雨」は人間味の強いテンポや音域が特有の魅力となっています。ストレートな卒業ソングであり、かつて青春を謳歌した多くの人の胸を打つ歌詞には強い引力があります
・メルト/ryo
クリエイターユニット・supercellでも活躍するryoさんによる楽曲です。時代を感じさせないハイクオリティなサウンドやメロディは、今でも新しいファンを獲得し続けています。「メルト」は真っすぐで力強いラブソングであり、「今日の私はかわいい」と言い切る女の子の、好きな人と目も合わせられない様子がキュートな作品です。
まとめ
初音ミクで知られるボーカロイド・通称ボカロは、2004年のリリースからニコニコ動画をきっかけに人気を集め、さまざまなボカロPが楽曲を発表しています。みきとPさんやkemuさん、れるりりさんなどが手掛けた楽曲は「懐かしい」と言われることもありますが、今でも多くの方に人気です。
ボカロ初期の中には、一部の方から絶大な支持を得ている隠れた名曲もあります。あらためて聞くと、昔とは違う魅力を発見することもあるでしょう。懐かしさを味わいつつ、当時の思い出に浸ってみましょう!
※当記事は2024年6月時点の情報をもとに作成しています